- ミレーナを推奨する方
- ミレーナを推奨できない方
- ミレーナの避妊効果
- ミレーナのメリットと副作用
- ミレーナの挿入について
- ミレーナの注意事項
- ミレーナを装着して良いか
入念に検討すべき症例 - 料金
- よくある質問
ミレーナについて
ミレーナとは、子宮内に装着することで、適量の黄体ホルモンを継続的に出す避妊器具のことです。最長で5年間は高い避妊効果が期待できます。
柔らかいプラスチック製で、T字型のリングの形をしています。子宮の形などによっては不適合となる場合もあるため、予め診察を受けていただきます。なお、状況が変わって妊娠を望む場合は、ミレーナを取り外すことで妊娠できる状態になります。
また、過多月経や月経困難症の治療でミレーナを使う場合は、保険診療となります。そのため、過剰な経血量や激しい生理痛でお困りの方にもお勧めです。
ミレーナとピルの違い
ミレーナはピルよりも避妊成功率が高く、副作用のリスクも小さいと言われています。
ミレーナの効果が及ぶのは子宮周辺だけであり、血栓症などの心配もいりません。また、ピルとは異なり、毎日飲むことや飲み忘れの心配もありません。
ピルを使えない喫煙者、40歳以上の方、ピルの副作用に耐えられなかった方などにお勧めです。
ミレーナを推奨する方
ミレーナを推奨できない方
- ミレーナの成分に過度に反応する
- 月経の他に性器出血が起こっている
- 子宮の形や場所に問題がある
- 子宮腔に先天的な問題がある
- 卵管炎・子宮内膜炎などの感染症にかかっている
- 膣炎・子宮頸管炎の既往歴がある
- 直近3ヶ月以内に性感染症になった
- 直近3ヶ月以内に感染性流産・分娩後子宮内膜炎が起こった
- 子宮口を拡張する処置により、激しい徐脈・痛みを生じたことがある
- 骨盤内炎症性疾患の既往歴がある
- 深刻な肝腫瘍・肝障害がある
- 子宮外妊娠の経験がある
- 現在妊娠中もしくは、妊娠の可能性がある
ミレーナの避妊効果
必ず避妊できるわけではありませんが、ミレーナを適切に使用した場合、1年間に妊娠する確率は0.2%と言われています。
また、子宮内に装着後、即座に避妊効果が期待できます。
なお、ピルと同じく性感染症を防ぐことはできませんので、性感染症の予防のためにはコンドームを適切に使用してください。
ミレーナのメリットと副作用
メリット
コストパフォーマンスが高い
低用量ピルなどを5年間使用したケースと比較すると、検診込みでもミレーナの方が安いため、費用対効果が高いと言えます。
ピルを使用できない方でも装着できる
ミレーナの効果が及ぶのは子宮周辺のみですので、血栓症が起こりやすい、喫煙者、BMI30以上、30代後半から40歳以上、脂質異常(高脂血症)・高血圧・動脈硬化を患っているなど、低用量ピルを使用できない方でも装着できます。また、ピルをきちんと服用したか覚えていられない、服用を忘れてしまうなどの理由でピルの使用を諦めていた方にもお勧めです。
ミレーナの副作用
血栓症などの重大な副作用が生じることは稀ですが、装着してから数日間は、不正出血や下腹部痛などが生じる場合があります。
また、月経周期の変化、過長月経（生理が8日以上続く）、腰痛などが生じる場合もあります。
症状が長引く場合や、痛みなどが激しい場合は、なるべく早めにご相談ください。
ミレーナを挿入して起こるマイナートラブルでは、生理以外の不正出血が一番よく起こります。
ミレーナから出る黄体ホルモンにより子宮内の黄体ホルモン濃度が高くなるため、その状態に順応するまでは不正出血が生じることが少なくありません。程度は人によって異なり、1ヶ月くらいで落ち着く方、3～4ヶ月間ほぼ毎日出血する方、半年くらいは少量の出血が続く方など様々です。
その他、一過性の乳房の張りや下腹部痛が生じる場合があります。
また、ミレーナが脱出することも稀にあります。このようなトラブルが起こっていないか確認するために、定期的に受診し、ミレーナが適切な位置に収まっているかチェックすることが大切です。
ミレーナの挿入について
ミレーナの挿入前の検査
ミレーナの挿入前に、卵巣・子宮の検査や妊娠の有無の検査、性感染症の有無の検査を実施します。
ミレーナの挿入時期・方法
ミレーナは月経が始まってから7日目までに装着します。特に、出血量が少なくなる4～7日目に装着することを推奨します。
装着は約5分でできますが、子宮の形状などによって多少時間がかかる場合もあります。
ミレーナ挿入時の痛み
経腟分娩をしたことがあれば痛みは伴いませんが、そうでない方は装着が難しく、装着の際に少し痛む場合があります。
挿入後の注意事項
装着当日は、軽めのシャワー程度で済ませ、入浴は避けてください。
ミレーナの挿入後の性交渉
装着から1週間は経過観察するために性行為はしないでください。
また、患者様によってはさらに様子を見ることもあります。詳しくは挿入する際にお話しいたします。
なお、ミレーナを挿入していても性行為に支障はありません。万が一性行為の際に痛みや違和感が起こる場合は、適切な場所に挿入されていない恐れがあるため、なるべく早めにご相談ください。
ミレーナ装着後の検診
ミレーナを装着して1ヶ月経ってから、超音波検査でミレーナの場所をチェックします。
その後は3～6ヶ月の周期で何度かチェックして、それ以降は年に一度チェックします。年1回の検診は子宮がん検診と同時に行うことを推奨します。
ミレーナの注意事項
①脱出
ミレーナの脱出にお気を付けください。適切な場所に収まっていないと知らないうちに脱出してしまうので、定期的に検診にてチェックします。
チェックするタイミングは、1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月・1年後・それ以降は年に一度です。
臨床試験によると、挿入して最初の1年で脱出する確率は1.5%と言われています。
②糸を引っ張らない
子宮口付近にあるミレーナを取り出すための糸は引っ張らないようにしてください。
③装着の注意
基本的に生理中に装着しますが、その際に痛みが生じることがあります。
ミレーナを装着して良いか
入念に検討すべき症例
子宮腺筋症
月経困難症を解消するためにミレーナを装着する場合、子宮筋層の厚みが5cmを超えていると効果を期待しづらいと言われています。
また、脱出しやすくなる恐れがあるため、装着について入念に検討する必要があります。
子宮筋腫
2.5cmを超える子宮筋腫ができている場合、脱出しやすくなります。
また、子宮内膜付近に筋腫がある場合は、不正出血が長引く可能性があり、脱出しやすくなります。
料金
| ミレーナ装着 | 44,000円（税込） |
|---|---|
| 抜去 | 8,800円（税込） |
よくある質問
ミレーナとピルはどちらを使うべきですか？
ミレーナはピルよりも避妊成功率が高く、副作用が少ないといわれています。ミレーナの効果が及ぶのは子宮の周りだけですので、血栓症なども心配いりません。
ピルとは異なり毎日飲むことや、飲み忘れの心配もありません。ピルを使えない喫煙者、40歳以上の方、毎日の内服が困難な方、ピルの副作用に耐えられなかった方などにお勧めです。
ただし、子宮の大きさや形によって脱出しやすい方、挿入が困難な方がいますので、適切な方法を選択することが必要です。
ミレーナが保険適用となるのはどのような場合ですか？
ミレーナを装着してから臭いがするのはどうしてですか？
ミレーナの装着自体が原因で臭いがするようになることはありません。
しかし、不正出血やおりものの増加によって臭いが変わる可能性はあります。
普段より臭いがきつい気がするなど異変を感じたら、一度ご相談ください。