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月経困難症

生理に関わるトラブル

生理に関わるトラブル生理に伴うトラブルとして、頭痛や下腹部痛、腰痛などの重い症状が起こる月経困難症があります。
またその他、生理前に重い症状が起こって生理が始まると軽くなったり・消えたりする月経前症候群(PMS)、抑うつ気分・イライラなど精神状態が悪くなり日常生活にも影響が及ぶ月経前不快気分障害(PMDD)があります。

月経困難症について

生理では痛みが起こることがありますが、「学校や仕事を休まないといけないくらい苦しい」「鎮痛剤を服用してもあまり効かない」
「ここ最近、生理の痛みが増している」など、日常生活にも影響が及ぶ際は月経困難症と判断されます。

毎月の生理で体調が悪くなってお困りの方は、一度ご相談ください。

月経困難症の原因

原因は、明確な原因疾患がない機能性月経困難症と、疾患によって起こる器質性月経困難症の2つに大別されます。

①機能性月経困難症

子宮内膜で生成されるプロスタグランジンによって、子宮が過度に収縮することで起こります。
また、プロスタグランジンの代謝物によって、下痢、吐き気、頭痛などの全身症状が現れます。

②器質性月経困難症

代表的な原因疾患として、子宮内膜症と子宮筋腫が挙げられます。
特に子宮内膜症の患者様は昨今増え続けており、若い方が発症することもあります。

検査

当院では患者様のお話を詳しくお聞きし、はじめに月経困難症を引き起こす子宮筋腫子宮腺筋症子宮内膜症などの有無を超音波で確認します。

※これまで性交渉をしたことがない方には、正確性は劣りますが、お腹の上から超音波を当て、検査いたします。
痛みをご心配の方もご安心ください。

治療

万が一、月経困難症を引き起こす疾患が卵巣や子宮で見つかれば、器質性の月経困難症として適切な治療を実施します。
明確な原因疾患がなくても、日常生活に影響が及ぶくらい生理痛がひどければ、機能性月経困難症と判断して適切な治療を実施します。
生理痛が重い方は、将来的に子宮内膜症に進行するリスクがあると言われています。
将来の疾患の発症を防ぐためにも、患者様に応じた治療をご案内いたします。当院では、基本的にディナゲストや低用量ピル、漢方や鎮痛剤などで治療を行います。

低用量ピルと生理痛

ひどい生理痛で、通学・通勤など日常生活にも影響が及んでいる場合、多くの場合はピルを飲むことで支障なく日常生活を送ることができます。
ピルは避妊薬だと考えている方が大半だと思いますが、排卵がストップすると経血の量が減少するため、月経困難症や過多月経でお困りの方にも効果的です。
また、月経前症候群の緩和にも繋がります。生理周期も安定するため、月経不順の治療でも用いられます。
最近はなるべくホルモン量を少なくした保険適用の超低用量ピルも複数開発されており、生理の回数を少なくすることができるものもあります。
また、受験を控えていてテストの日に生理が重ならないようにしたい、生理中の体調不良で集中力が落ちるなどのお悩みは、なるべく早めにご相談ください。受験前の夏休み頃までにご相談いただくことをお勧めします。

低用量ピルについて

生理痛と漢方

古くから生理トラブルに対して漢方が使用されています。
生理痛に有効なものの他、イライラ、頭痛、むくみなどに有効なものもありますので、患者様の体質や症状に応じてお薬をお出しします。
粉(散剤)タイプが多いですが、1日2回飲むだけで良いものや、少ないですが錠剤タイプもあります。

月経前症候群・
月経前不快気分障害

月経前症候群・月経前不快気分障害月経前症候群(PMS)では生理が始まる3~10日前に心身に重い症状が起こり、生理が始まって4日以内に症状が軽くなったり・消えたりします。
心の症状としては、イライラ・気分の変動・抑うつなどが起こり、身体の症状としては疲労感・頭痛・腰痛・むくみ・下腹部膨満感・乳房緊満感が起こります。
心の症状が中心で症状が重い場合は、月経前不快気分障害(PMDD)となります。
心身どちらにも症状が起こりやすく、生理が来る女性の約90%にPMS・PMDDがみられ、治療が必要な方は5~10%と考えられています。

原因

明かな原因はわかっていませんが、排卵後の黄体ホルモンを中心としたホルモンの変化、脳でのホルモンの感受性、遺伝的・環境的因子が絡み合って生じると言われています。

治療

まずはカウンセリング、生活指導、運動療法を行います。
また、下記の中から、患者様のご希望や症状に合わせた治療を行います。

ホルモン療法

新しい世代の黄体ホルモンを含むLEP製剤の一種であるドロスピレノン・エチニルエストラジオール錠(ヤーズ配合錠、ドロエチ配合錠)を主に使用します。特にPMDDの解消に有効だとされています。
その他の低用量ピルを使用することもあります。月経の回数自体を減らす連続投与法も選択できます。

低用量ピルについて

薬物療法

個別の症状が気になる方への対症療法として、抗うつ薬、腹痛や頭痛を和らげる鎮痛剤、むくみを解消する漢方や必要時は利尿剤を使用します。

その他

カウンセリング、適度な有酸素運動、食事療法、ハーブ療法、認知行動療法、ビタミン療法などを行います。

生理は毎月来ないといけない?

生理が毎月きちんと来るのは非常に重要なことです。
しかし、毎月の生理の度に進行する疾患も多数存在します。
昨今では、従来よりも妊娠・出産の回数が少なくなったため、生理の回数が多くなっています。
保険適用となるピルには、生理の回数を少なくするものや、生理が3ヶ月に1回しか来ないように調整するものも存在します。
また、一時的に生理をストップさせるものもあります。
患者様の状態に合わせて最適なお薬を処方しますので、お気軽にご相談ください。

低用量ピルについて

よくある質問

月経前症候群(PMS)と月経困難症の違いについて教えてください。

症状が起こるタイミングが異なります(月経前か月経中かにて)。
PMSは、月経前の3~10日間に起こる心身の症状です。月経が始まると症状が軽減・消失する特徴があります。
一方、月経困難症は、月経中に生じる激しい腰痛や下腹部痛などの不快症状です。
起こりやすい順に、下腹部痛、腰痛、腹部膨満感、吐き気、頭痛、疲労・脱力感、食欲不振、イライラ、下痢、憂うつなどの症状があります。

PMSの主な症状を教えてください。

心の症状としては、イライラ・気分の変動・抑うつなどが起こり、身体の症状としては疲労感・頭痛・腰痛・むくみ・下腹部膨満感・乳房緊満感が起こります。
心の症状が中心で症状が重い場合は、月経前不快気分障害(PMDD)となります。

月経困難症の症状は閉経するまで続くものですか?

機能性月経困難症では、加齢に伴い、もしくは妊娠・出産によって、症状が軽減する場合もあります。
一方、器質性月経困難症では、40歳頃から症状が悪化することもありますが、原因疾患の治療によって症状が軽くなる可能性が高いです。